電脳コイル、一部の観察者の高評価を受け、一応観続けているのだが、「これってそんななにベタ褒めするほど良いのか?」とか「文句なしに良いと言い切れない自分は、ダメな人間?」と踏絵を踏まされるような、何とも気持ちの悪い感覚に苛まれていたのだけれど・・・
聖地日本~Sacred place Japan~ 「電脳コイル」の海外反響 これがキッズアニメだなんて信じられないよ
ここを見る限りじゃ、やっぱり面白くないとか、「面白くないとは言い切れ無いが、最高に面白いとは言えない」みたいな、自分と同じような感想を持つ人もいて、すごーく安心できた。海外ファンの翻訳がメインだけど、コメントは日本人なのだろうし。
まあ、2chにいけば「電脳~はう○ちアニメ」みたいな事はいくらでも書いてあるんだろうけど、何が本当か判らないところだし、自分がいつも見ているような口達者&インテリな人気ブロガー様達は、軒並みマンセーな評価だったので、非常に不安だったわけですよ。
誤解して欲しくないのは、全く面白くないというのではなく、見所は確かに多いのだけれど、「手放しで最高と言えるほど良くはないだろ」ってこと。
何かが、いつも引っ掛かってて、リミッターというか、吹っ切れた爽快感がいまいち感じられないのだな。その正体が何なのか?いつも違和感を感じる。
で、そのリミッターを感じなかったのが、例の12話「ダイチ、発毛ス」だったわけで。
思うに、上のリンク先にも感想があるのだが、
>いったい「電脳コイル」はどの年齢層にターゲットを絞っているのだろう?
って感じてしまうところが、根本にあるような。子供向けの皮を被っていながら、やっている事はかなり複雑で難解だったり。
いや、それだけなら単純なのだが、世界の広がりが大人の世界も含めた全宇宙的規模ではなく、あくまで子供の視点、子供の狭い世界の中でのみで、舞台が閉じているところがややこしい。
あくまでアニメに表現されているものは、メガネをかけた子供だけが見る事の出来る世界であり、メガネをかけていない一般人の大人は見る事の出来ない世界なんでしょ?
時々、ダイチの父親とか、一般の大人が登場するシーンはあるが、彼らの視点で見たシーンは全く無く、大人から見れば、空中の何も無いところでカチャカチャやっている子供の姿は何とも珍妙に映る筈なのだが、それを視聴者に感じさせるシーンは1回も登場していない。
ちょっと横道にそれたが、大人の視点でのシーンがあるかないかではなく、ともかく全て子供視点で、物語は進むという事だ。
それなのに、非常に難解で大人でも重いテーマやシステムを持ってきていて、子供というリミッターがなければ、世界的規模の情報戦やマッドサイエンティストの暗躍といった、でかい話がいくらでも出来そうなのに、大黒市の一地区でのご近所話でしかないと。
意図してやっている意欲的実験作として、スタッフのチャレンジ精神には高い評価を与えたいとは思う。もしかしたら、私が見ていた他サイトの高評価は、それを含んだ意味での評価だったのかな?とも思う。
だが、作品自体の面白さについては、残念ながら成功しているとは言い辛い。
突き抜けた爽快感が感じられないのは、世界が矮小化している事と無縁でないように感じられる。ただ一つの例外を除いては。
ミクロ世界であれだけグローバルに展開できた12話は、正に神シナリオと言って良いだろう。あれが面白かったのは、子供世界のリミッターが、あの時だけ外れてしまったからに他ならない。
13話はつまらなかったが、おばちゃんが「自称」でなくて、本当に17歳だったのは噴いた。