EeePC 4G-Xは未だ健在だが、年老いた家族でも使えそうなノートPCを一年ぐらい前から物色していた。
予算が限りなく無い(^-^;)ので、新品ネットブックの激安品や中古品を色々検討したが、ようやく満足行く一品とめぐりあった。
日立のビジネス向けA4ノート FLORA 270W NB9の中古品である。
いくつかの仕様があるが、Pentium-M 2GHz、HDD40GB、コンボドライブ、15インチXGA液晶のモデルになる。メモリーは512MB(256x2)だった。
これを1万2800円(税込み・送料別)で楽天の「デジタルショップ一宮・岐阜」から購入した。
ネットブックやB5などのコンパクトなタイプが自分の好みだが、年配の初心者が家庭内で使うのであればA4ノートPCが普通だろう。今となっては乏しいXGAの解像度も老眼には優しいともいえるし、何といっても安い、激安である。
光学ドライブは、使用者に特に何がしたいという意欲がないのでCD-ROMでもかまわないのだが、将来Windows 7にアップグレードする事も見込んでコンボドライブとした。アップグレードに耐えるスペックがあると思う。
「せっかく付いているのだからDVDビデオで映画でも見てみよう」という気になってくれれば、更によい。だらだらとTVだけを見ている無気力老人では困る。
メモリーはメーカースペックでは最大1GBである。だが、ネット情報によると2GBまで増設可能らしい。これを信じていつかチャレンジしたい。
通販の中古で少々不安だったが、届いてみるとなかなかの美品。液晶のトップカバーに少々擦れた傷があったが、開いてみると全く傷も汚れもなく、内側は殆ど新品の様である。
これは大当たりだと思う。
先に「何を買ったか」結論から書いてしまったが、これに決まった理由を更に詳しく述べていきたい。
実は元よりこのモデルが欲しくて買ったわけではない。
ただ、楽天で中古ノートPCの検索を安い値段でソートして探したところ見つかった商品であった。
予算は出来るだけ安く、1万5千円以内(汗
もちろん、ただ安ければ良いというわけではない。古くても充分今でも通用するスペックである事、またOSもリカバリ可能な状態で付いていないと安い商品とはいえない。
そういう厳しい目で見ていくと、この価格帯には大笑いしたくなる酷い商品も大量に売られている。
OS付が条件といったが、今となってはWindows XP一択であって、未だに98や2000の中古がサポート切れの注釈もなしに堂々と売られているのは酷い。それで、CPUがセレロン700MHzにメモリが128とかで、増設しても512MBが最大とか……そういうのは産業廃棄物である。
リナックスを入れるとかベテランがわかってて買うならいいのだが、宣伝コピーは全然そんな感じでなく、「入門用やメール、ネット利用に最適」「そのまますぐにインターネットOK」とか、とんでもない話だ。
繰り返すが、ベテランが1円スタートのオークションとかで買うなら良い。産業廃棄物のリサイクルとして。それが、レビューとかで「子供の練習用に買いました」「初めてのパソコンです」とは、たとえ諭吉1枚の買い物でも哀れだ。
こういう大爆笑商品を初心者騙くらかして堂々と売るようなショップは、Pentium 4 2.5GHzとかの、そんなに良くは無いが一応使えるクラスの商品も2万円以上と高めだったりする。
話がすっかり脱線してしまったので、元に戻そう。
厳しい条件の中、私が中古PCの良品を探す上で目を付けることにしたのは、Pentium「4」ではなくPentium「M」もしくはCerelon「M」を搭載した機種だ。
たとえ1万5千円以内の予算でもそれらに絞った上で出来るだけ高クロックを狙えば、今でも充分使えるスペックであると考えたのだ。
分かっている人には説明不要だと思うが、どうも一般的には「M」が付くPentiumやCerelonはあまり知られていないように思う。デスクトップには見られないノートPCだけのCPUだからだろうか?
また、ややこしいことに「モバイル」PentiumというCPUもある。これは上記の「M」とは別物で単に「4」をモバイル向けに小さくパッケージングし直しただけで、性能的には「4」と同じ物だ。「Pentium 4-M」と表記もされる(こちらが正式名称か)が、たった一文字違いで、非常に紛らわしい。
私が狙っていたのは「Pentium-M」である。「Pentium-M」は世代が「Pentium 4」よりも新しく、現代のCoreシリーズに続く先駆的回路構造のCPUだ。
「Pentium 4」は高いクロック周波数で動かす事によって性能を高める方向性だったが、「Pentium-M」では同じクロック周波数でも効率的に動作する方向性に、回路構造が変えられたのだ。
高いクロックであれば確かに性能は向上するが、電力を大量消費して発熱が増えるという副作用が付き物だ。これではノートPCには全く不適当である。
事実、「Pentium 4」を搭載したノートPCでは、本体の熱がすごいとかファンの音がうるさい、バッテリーの持ちが悪いなどの苦情が多かった。
その為、現代高性能CPUの代表であるCoreシリーズに先立ち、モバイル用にリリースされたのが「Pentium-M」である。
簡単に言えば、低クロックでも高性能を発揮できるように設計されたのが「Pentium-M」なのだ。
古典的メカニズムの大排気量アメリカ車と、ハイテク小排気量エンジンの日本車のような関係である。
「Pentium-M」がどのくらい高性能になっているかというと、「約1.5倍のクロックのPentium 4に匹敵する性能を発揮」(Wikipedia)といわれている。
具体例としては、PassMark softwareというベンチマークの比較サイトにおいて、Pentium 4 3.0GHzのスコア491に対しPentium-M 2.0GHzが502と、上記の記述を証明するスコアが示されている。
また、比較的新しいCPUを例にすると、初期のネットブックに数多く搭載されたAtom N270(1.6GHz)のスコアは304である。Pentium-Mは1.2GHzでもスコア319でこれを凌駕、Celeron-M 1300MHzでも319である。
さすがにCore2Duoとの対決では、2GHzをもってしても2倍以上の差となってしまい全く勝負にならないが、ネットブック相手なら1GHz台前半の周波数でも戦えるレベルといえる。
このようにクロック周波数の数値の割に高性能である「Pentium-M」であるが、激安の中古品を探しているような初心者・および知識の浅い一般PCユーザーには、殆ど認知されていないのではないだろうか?
一般にクロック周波数の数値の意味さえも理解されておらず、単に数値が大きい方が高性能と理解されているのでなイカ。
そのため、周波数表記を止めて最近はプロセッサナンバー表記となっているが、その数値は同じシリーズ内での序列を示すに過ぎず、以前よりも予備知識なしで違う種類のCPU同士の性能を見極める事が困難となった。
そんな状態だからこそ、より知識を持った者には、安くて高性能な中古PCを見つけるための隙があるというものだ。
まあ、今は「M」が付いているかどうか位で済んでいるからまだいい。今後プロセッサナンバー表記の機種があふれてくると、中古市場は大いに混乱するだろう。
あくまで印象論ではあるが、現在の中古市場では単純にクロック周波数の高い「Pentium 4」が、それよりも低いクロックである「Pentium-M」より高い値段である傾向があると思う。
実性能では遥かに低いPentium 4 2.4GHzが、Pentium-M 2.0GHzより高い値段だったりするのだ。
話がすっかり長くなってしまったが、そういう意味でPentium「M」もしくはCerelon「M」を搭載した中古PCが狙い目というわけである。
それでは何で日立のFLORAなのか?これについては楽天の中古パソコン市場で検索した結果という他ないが、あえてこじつけるならプランド力だろう。
同じ値段で、NECや富士通、東芝なども検討したが、明らかにスペックが日立のFLORAより低いのだ。まさか自分も、この価格でPentium-M 2.0GHzが手に入るとは思っていなかった。せいぜいCeleron-Mの1.5GHz辺りを考えていたのだ。
普通の人はNECや富士通、東芝、次に好みでSONYやLenovo、仕方なくDellやHPもというパターンで、日立という選択肢が入る人はあまりいない気がする。
某何とかテックのように信頼性が悪くて安いということでは困るが、会社の規模としてはNECや富士通と同様の大型汎用コンピュータで伝統のあるメーカーなのだから、良い製品であると信じたい。何でPCブランドとして浸透できなかったのか不思議だ。
ただ、それでもこの値段は激安を通り越して爆安である。他のショップでは同機種が1万円後半~となっているようだ(それでも、NECや富士通、東芝より確実に安いと思う)。
一つ問題があるとすれば、コンボドライブは純正品ではない筐体と色違いの汎用品が付いている。それ故、訳あり品で安い可能性もあるが、同じスペックで純正のCD-ROMのものは11,800円だったので、この店自体の値段が安いのだろう。
今は在庫がはけてしまってFLORA 270W NB9は1台もないが、また入荷するかもしれないのでチェックしたい店だ。参考のために楽天のFLORA 270W NB9を販売しているページ一欄のリンクも貼っておく。
「デジタルショップ一宮・岐阜」(楽天ストア)
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